初めてディズニーランドに行った

 

舞浜駅から歩き始めて1分も立たないうちに、通路に立つ従業員(恥ずかしいので口が裂けてもキャストとは呼べない)の姿が見えてきた。入場ゲートはまだ先の方だと言うのに、さすがディズニーである。

従業員はしきりに「ディズニーランドへお越しの方は通路の右側をご通行ください」と言っていた。左側を歩く人間はどこに連れていかれるのだろう、と怯えているうちに入場ゲートに着いた。駅からとても近い。これがディズニーの本気である。

入場人数が制限されているらしく、以前ディズニーシーに行ったときよりも人が少なかった。混みすぎていると疲れてしまうし、空きすぎていると寂しいので丁度よかった。

おかげで一日かけてほぼ全てのアトラクションで遊ぶことができた。案の定どれも完成度が高く、とても楽しめたので「やっぱりよくできているなあ」と感嘆していると、「そういう視点ではダメ、もっと没入しなければ」みたいなことを言われた。たしかに。

 


イッツ・ア・スモールワールドでは、屋内の水路で流される船に乗り、行く先々で歌って踊る人形たちを眺める。もちろん音楽はイッツ・ア・スモールワールドである。何かを能動的にやることはないし、ジェットコースターのような激しさはないのだが、ここで味わった感覚は最も印象に残っているかもしれない。

移動速度と音量はこの上なく適切で心地よく、それでいて底抜けた賑やかさと徹底した穏やかさが両立しており、その感覚は夢か現かで言えば間違いなく夢である。しかもしばらくするとその感覚は反転し、度を超えた健全さが段々と滑稽に感じられ始め、終いには恐れにまで転じる。「死後の世界に運ばれていくときってこんな感じなんだろうな」みたいなことをぼんやりと考えていた。誇張ではなく本当にこんな感じなのだからディズニーはすごい。

 

 

ウエスタンリバー鉄道は本物の蒸気機関車らしい。すごい。乗車中はおじさんが軽快に喋る音声を聞きながら景色を眺めて楽しむ。

園内の客が行き交う場所の通りがけに、その光景を開拓者たちの街に見立てたナレーションが流れたときは、なるほどたしかにそう見えると思いえらく感心した。上手い。

ただ、車窓から見える川の対岸で小屋が燃えているシーンで、ナレーターのおじさんが「(小屋は燃えても)開拓者たちの精神が燃え尽きることはないのだよ」みたいなことを言ったときは、おい待てと思った。絶対それを言いたいがために、そのためだけにあの小屋を燃やしただろ。だってあんなの燃えてなくたっていいんだから。ひどい話だ。

 


スプラッシュマウンテンは文字通り山の高い所から船で降下して水しぶきをあげるアトラクションである。序盤は優雅に船に揺られ、各所に配置されたキャラクターが喋る姿を見ていた。どうやらストーリーが存在するらしく、うさぎが主人公のようだった。セリフの所々で笑いが云々と言っていたので、笑いを追究するうさぎなのだなと心得た。そんなときにいかにも船が降下しそうな場所に到達し、まあまあ身構えていたところ、次の瞬間にはそれがフェイクであり、小さく降下しただけであることを知った。その先に現れるキャラクター達は妙に声をあげて笑っており、どう考えてもフェイクに引っかかった僕を嘲っていた。うさぎが追究する笑いはそんな類のものなのか?といくらか心の中で反発していると、同じようなフェイクが2回続いたので「天丼かい」と思った。やはりうさぎは一応笑いを追究しているらしい。

そんな流れも終わり、ようやっと本当に高い所から落ちた(楽しい)。全てが終わった今、うさぎは一体何を言うのだろうと思って心待ちにしていたのだが、流れた先で現れた鳥のキャラクターがどう見てもセサミストリートビッグバード(黄色くてデカい鳥)だったのでそれどころではなくなった。あれは誰もツッコマないのか??あるいはツッコメないのか。

 


他にもいろいろと巡ったが書ききれない。凡そ「おお」「うわ」「スティッチかわいい」「これ木製じゃん」みたいな感想をその都度浮かべながら楽しんでいた。

 


ディズニーはいいねというだけの話。